時間 vs. お金。音楽と経済④

あなたは次のどちらが賢い選択だと思いますか?

①映画館に行った。本編が始まってまもなく、退屈な作品だとわかったが、最後まで観た。

②映画館に行った。本編が始まってまもなく、退屈な作品だとわかったので、途中で出た。

☆☆☆★★★☆☆☆

日本で暮らしてると、よく
「元を取る」
って、言ったり聞いたりします。

「お金払っちゃったんだから、元を取るために最後までいなきゃ、ソン!」
って考えも、ありそうですね。

教科書では、このように解説してました:

◆チケット代は払ってしまい、お金を取り戻すことは出来ない。

◆しかし時間はまだ残っている。
お金にくわえて、時間までもツマラナイことに奪われる事態を避けるために、途中で劇場を出るというチョイスが、経済学的には正解である。

☆☆☆★★★☆☆☆

当時19 or 20才位だった私に、これはけっこう目からウロコでした。

生きているかぎり、時間から逃げられないんだ。

何をやるにも、時間がからんでくるんだ。

これをきっかけに、「支払う金額」と並行して「関わってくる時間」をなんとなく気にするようになったのですが、何年もたって、日本で年上の女性にこの感覚を話したときに
「あらアナタ、ずいぶん面白い考え方ね〜」
って言われたりもしました。

☆☆☆★★★☆☆☆

映画と同様、音楽も
「時間の芸術」
なんて言われます。

映画や音楽を観賞するには、時間の経過がどうしても必要です。

時間はつねに流れていて、過去を取り戻すことは、くやしいけど出来ない。

演奏に関しては、どんなに練習したって、本番で失敗する可能性はあるわけで。
一発、音をだしたら、つぎの瞬間、もうそれは過去のものになる。

冬季オリンピックの、フィギュアとか見てても思いましたね。
一瞬バランス崩してヨロついても、次の瞬間「ビシッ!!」と立て直してくる一流スケーター達。

「あぁーやっちゃったァ〜…」
なんて落ち込んでるあいだにも、どんどん時間が過ぎてしまいますもんね
(^^;

取り戻せない過去に引っ張られていたら、「未来」を犠牲にしてしまう。

音楽も人生も、前に進むしか、行き着く場がないです。

そして、私が音楽を演奏するとき、その場を共有して下さる共演者/オーディエンスの人達は、その方の人生の大切な時間を、寛大に差し出してくれているのだということを、忘れずにいようと思います。

水恋鳥ミリー
millieM